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2021年の春、私は合同会社を設立しました。当時はまだ学生で、個人事業主ですらありませんでした。
普通は「個人事業主として稼げるようになってから、節税のために法人化する」という順番のはずです。私は完全に逆でした。先に法人を作らざるを得ない事情があって、結果として個人事業との「二刀流」になったという、たぶんかなり珍しいパターンです。
設立に使ったのはfreee会社設立。この記事では、当時の記録と記憶をたどりながら、実際の流れ・かかった費用・つまずいたポイント、そして5年経った今もfreeeを使い続けている理由を書いていきます。
結論:自分ひとりで、詰まらずに設立できた
先に結論だけ書いておきます。
- 法人設立の知識ゼロの学生でも、freee会社設立の画面に沿って入力していくだけで書類一式が揃った
- ツールの利用料は無料。かかったのは合同会社設立の法定費用(登録免許税6万円など)が中心
- 設立後はそのままfreee会計に移行して、5年間ずっと自分で経理・決算をしている(税理士なし)
- ただし「法人の手続き情報はネットに少ない」という壁は、ツールがあっても消えない。そこは覚悟がいる
そもそもなぜ学生が法人を作ったのか
きっかけは、Web系の仕事の募集に応募したことでした。採用してくれたのはアメリカの会社。ここで想定外のことを言われます。
「個人との契約だと、海外送金の際に仕事の実態やお金の流れの説明が面倒になる。法人を立てて、法人と契約させてほしい」
つまり、節税のためでも、かっこつけたかったわけでもなく、「契約のために法人が必要だった」んです。国境をまたぐ報酬の支払いでは、支払う側にも税務上の説明責任があって、相手が法人のほうが処理しやすい——ということのようでした。
だから私の合同会社は、その業務委託契約だけを事業として設立しています。その後に始めたブログやYouTubeなどの活動は、すべて個人事業側。これがいわゆる「マイクロ法人と個人事業の二刀流」の形に、狙ったわけでもなくなっていた、というのが正直なところです(二刀流の設計の話は別の記事で詳しく書きます)。
freee会社設立を選んだ理由
当時の私の状況はこうでした。
- 法人設立の知識はゼロ。定款が何かも知らない
- 司法書士に頼むお金はない(依頼すると数万円〜10万円程度かかる)
- Web系の仕事なので資本金はほぼ不要。維持費を最小にしたいから合同会社一択
「会社設立 自分で」で調べて出てきた無料ツールのなかで、当時いちばん情報が多かったのがfreee会社設立でした。決め手は単純で、質問に答えて埋めていくだけで定款や登記書類が自動で出来上がること。書類のフォーマットを自分で調べて作る自信は、当時の私にはありませんでした。
実際の設立の流れ(2026年現在の仕様で再確認済み)
私が設立した2021年から画面や細部は変わっていますが、大きな流れは今も同じです。この記事を書くにあたって、2026年時点の公式情報と突き合わせて確認しました。
STEP1:基本情報の入力
会社名、所在地、事業目的、資本金、決算月などをフォームに入力します。私がここで考え込んだのは事業目的と登記住所でした。
事業目的は、契約先から求められている業務をそのまま書けばOKでした。あれこれ盛りたくなりますが、実際に売上が立つ見込みのある事業を素直に書くのがいちばんです。
登記住所は自宅を避けたかった(賃貸で引っ越す可能性もあった)ので、バーチャルオフィスを契約しました。この話は長くなるので別記事にしますが、ひとつだけ先に言っておくと——登記簿には代表者個人の住所も載るので、バーチャルオフィスを使っても、引っ越したら住所変更登記が必要でお金もかかります。私はこれを後から知りました。
STEP2:定款の作成
入力した内容から定款が自動生成されます。定款には紙と電子があり、紙の定款だと印紙代4万円がかかるのに対し、電子定款なら印紙代が0円。電子定款の作成は提携の行政書士に委任する形になり手数料5,000円がかかりますが、freee会計の年間契約とセットならこの5,000円をfreeeが負担してくれる仕組みになっています(2026年時点)。
どのみち会計ソフトは必要になるので、私と同じように「設立後もfreee会計を使うつもり」なら実質的な追加負担なしで電子定款にできます。
STEP3:出資金の払込み
自分の個人口座に資本金を振り込んで、その通帳のコピー(ネット銀行なら明細の画面)を用意します。合同会社は資本金1円から作れますが、あまりに少ないと法人口座の審査などで不利になることもあるので、事業の実態に合わせた金額にしておくのが無難です。
STEP4:法務局への登記申請
freeeが出力してくれた書類一式を持って法務局へ。郵送・オンラインでも申請できます。申請した日が会社の設立日になるので、こだわりがある人は日付を選びましょう。
STEP5:設立後の手続き
登記が通ったら終わり……ではなく、ここからが本番でした。税務署への法人設立届出書、都道府県・市区町村への届出、年金事務所での社会保険の手続き、法人口座の開設。正直、設立そのものより設立後の手続きのほうが大変です。freee会社設立は設立後の書類もある程度自動作成してくれるので、ここでも助けられました。
かかった費用
合同会社をfreee会社設立(電子定款)で作る場合の費用はこうなります。金額は2026年時点の法定費用で、私が設立したときも大枠は同じでした。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| freee会社設立の利用料 | 0円 |
| 定款印紙代(電子定款) | 0円(紙なら4万円) |
| 電子定款の行政書士手数料 | 5,000円(freee会計の年間契約で実質0円) |
| 登録免許税 | 60,000円 |
| 法人実印などの印鑑代 | 数千円〜 |
| 合計 | 約6.5万円前後 |
株式会社だと登録免許税だけで15万円、定款認証の費用も別途かかるので、ひとりでスモールにやるなら合同会社のコスト優位は圧倒的です。
つまずいたポイント3つ
① 法人の情報は、個人事業主に比べて圧倒的に少ない
「個人事業主 確定申告 やり方」で検索すれば記事が無限に出てきますが、「合同会社 設立後 届出 順番」になると途端に情報が薄くなります。フリーランス人口に比べて、自分で法人を回している人が圧倒的に少ないからだと思います。このブログを始めた理由のひとつがこれです。当時の私が欲しかった情報を置いておきたい。
② 手続きごとに窓口とシステムがバラバラ
登記は法務局、税金は税務署(e-Tax)と自治体(eLTAX)、社会保険は年金事務所。オンラインで完結するもの、窓口に行かないといけないもの、書類ごとに全部違います。「どの手続きがどのシステムか」の対応表は、それだけで一本記事が書けるくらい面倒でした(いずれ書きます)。
③ 役員報酬のルールが思ったより厳格
設立後の話ですが、役員報酬は「毎月同じ額を払い続ける」のが原則(定期同額給与)で、年度末にまとめて帳尻を合わせるような払い方は経費として認められません。私は最初「年間でつじつまが合っていればいいんでしょ」と思っていたので、これを知ったときはヒヤッとしました。役員報酬の決め方は税額と社会保険料に直結する、二刀流の心臓部なので、別記事でじっくり書きます。
5年経った今も、freeeで自分で決算している
設立から5年、税理士には一度も頼まず、freee会計とfreee申告で法人の経理と決算を自分で回しています。年間の維持コストは、法人住民税の均等割(約7万円)+freee関連(年3万円程度)+バーチャルオフィス代が中心。
「税理士なしで大丈夫なの?」とよく聞かれますが、逆です。税理士に年15万〜20万円払うほど利益があるなら、そもそもマイクロ法人という選択の前提が変わってくる。スモールにやるからこそ、設立時に会計ソフトと地続きのツールを選んでおいたのは正解でした。設立情報がそのまま会計データに引き継がれるので、二度打ちがありません。
freee会社設立が向いている人・向いていない人
向いている人:
- 費用を最小限にして、自分の手で設立したい人
- 設立後の会計も自分でやるつもりの人(freee会計との連携が活きる)
- 合同会社でスモールに始めるひとり社長
向いていない人:
- 手続きに一切時間を使いたくない人(素直に司法書士へ)
- 複雑な資本構成や許認可がからむ設立をする人(専門家案件です)
- 事務作業が本当に苦手な人。設立はゴールではなくて、毎年の決算・届出のスタートです。マメさに自信がないなら、法人を持つこと自体を再考したほうがいいかもしれません
まとめ
知識ゼロの学生だった私でも、freee会社設立で合同会社を作れて、その会社は5年間ちゃんと回っています。「法人設立」という言葉の重さのわりに、やることは画面に沿った入力と、法務局への申請と、地道な届出の積み重ねでした。
これから設立を考えている人は、まず無料でアカウントを作って、入力画面を眺めてみるのがいちばんイメージが湧くと思います。書類作成まで無料なので、「どんな情報を決めないといけないのか」のチェックリストとして使うだけでも価値があります。
※本記事は筆者個人の体験と2026年7月時点の公開情報に基づく一般的な情報提供であり、税務・法務の助言ではありません。個別の判断は税理士等の専門家にご相談ください。