法人口座の記事はたいてい「どこの銀行がおすすめか」から始まります。でも、設立したてのマイクロ法人にとって、本当の問題はその手前にあります。そもそも審査に通るのか、です。
私は2021年に合同会社を設立した直後、法人口座の審査に2回落ちました。この記事では、落ちた話も含めた口座選びの実録と、5年運営した今のメイン口座(GMOあおぞらネット銀行)に落ち着いた理由を書きます。
結論: 複数のネット銀行に同時申し込みが正解だった
- ゆうちょ銀行: 審査落ち(理由は非開示)
- 楽天銀行: 審査落ち
- 住信SBIネット銀行: 開設できた
- GMOあおぞらネット銀行: 開設できた → 現在のメイン口座
設立したての法人は、事業の実績も取引履歴もないので、審査に落ちること自体は珍しくありません。落ちても事業の違法性を疑われたわけではないので、へこむ必要はないです。ただし審査には数日〜数週間かかるので、1行ずつ順番に試すと口座がないまま何週間も過ごすことになる。私はSBIとGMOあおぞらに同時に申し込んで、結果的に両方通りました。これから作る人には最初から2〜3行の同時申し込みをおすすめします。
なぜネット銀行なのか: メガバンクは維持費で選外
メガバンクの法人口座は、月2,000円前後の口座維持手数料(Web通帳サービス等)がかかるのが一般的です。年間にすると2万円超。年16万円の維持費をシビアに見ているマイクロ法人にとって、この固定費は重い。ネット銀行なら維持費0円です。信用面でメガバンクを選ぶ考え方もありますが、ひとり社長の実務では困ったことは一度もありません。
SBI vs GMOあおぞら: 両方使った比較
| 住信SBIネット銀行 | GMOあおぞらネット銀行 | |
|---|---|---|
| 口座維持費 | 0円 | 0円 |
| 他行宛振込手数料 | 145円〜(条件で変動) | 143円 |
| 社会保険料の口座振替 | 非対応 | 対応(2024年4月〜) |
| freee会計との連携 | 対応 | 対応 |
日常の使い勝手はほぼ互角です。決定的な差がついたのは1点だけ——社会保険料の口座振替に対応しているかどうかでした。
メイン化の決め手: 社会保険料の自動引き落とし
マイクロ法人は毎月、社会保険料(私の場合は月約25,000円)を納めます。口座振替を設定していないと、毎月納付書で払うことになるのですが、この納付書が月末の期限ギリギリに届くという問題があって、私は実際に納付が遅れたことがあります(この話は別記事に詳しく書きました)。
2024年4月にGMOあおぞらネット銀行が社会保険料の口座振替に対応したとき、「これだ」と思ってメイン口座を移しました。以来、毎月の納付は完全自動。あの月末のソワソワから解放されたのが、地味に一番のQOL向上です。SBIは現時点で非対応なので、マイクロ法人の実務目線では GMOあおぞらが頭ひとつ抜けています。
細かいけど効く運用の小技
役員報酬の振込(法人口座→自分の個人口座)は毎月発生します。他行宛だと毎回手数料がかかるので、振込先の個人口座を手数料が安くなる組み合わせにしておくと、年間で数千円単位の差になります。私は個人側の口座も整理して、月1回の役員報酬振込のコストを最小化しています。小さい話ですが、マイクロ法人は「手残り最大化」が目的なので、この積み重ねが本体です。
注意点: 会計ソフトとの連携も確認を
口座選びの際は、使う会計ソフトと銀行連携できるかも確認してください。連携は会計ソフトと銀行の合意で成り立っているので、片方の都合で止まることがあります。実際、freee会計と楽天銀行の連携は2022年2月から2023年12月まで約1年10ヶ月のあいだ停止していました(現在は再開しています)。連携できない期間は毎月の記帳が手入力になり、自力経理の負担が一段上がります。
まとめ
- 新設マイクロ法人は審査に落ちるもの。2〜3行の同時申し込みで時間を無駄にしない
- 維持費0円のネット銀行で十分。実務で困ることはない
- 決め手は社会保険料の口座振替対応。現状はGMOあおぞらネット銀行が実務最強
※本記事は筆者個人の体験(2021年〜)と2026年7月時点の公開情報に基づきます。審査基準・手数料・サービス内容は変わるため、最新情報は各行の公式サイトでご確認ください。