マイクロ法人の維持費について、「年7万円くらい」という説明をよく見かけます。法人住民税の均等割だけならそのとおりです。でも、5年運営してきた私の実感を先に言うと——現実の維持費はその倍以上かかります。
これから作るかどうかを判断する人にとって一番大事な数字なので、私の法人の実額をそのまま出します。
維持費の実額: 年間 約16万円
| 項目 | 年額 | 備考 |
|---|---|---|
| 法人住民税(均等割) | 70,000円 | 赤字でも必ずかかる |
| freee会計(ひとり法人プラン) | 39,336円 | 2024年値上げ後の額 |
| freee申告 | 32,780円 | 法人税申告用。2025年に27,280円から値上げ |
| バーチャルオフィス(レゾナンス) | 約22,000円 | 月1,650円プラン+郵便転送の実費 |
| 法人用の電話(povo) | 数百円〜 | 維持条件あり(別記事予定) |
| 合計 | 約165,000円 |
「均等割7万円」のイメージで作ると、実際には倍以上出ていくことになります。私は社会保険料の削減効果がこれを大きく上回っているので納得して払っていますが、この16万円を回収できる見込みがあるかどうかが、マイクロ法人を作るかどうかの実質的な損益分岐です。

それぞれ、削れるのか?
法人住民税の均等割(7万円) → 削れない
法人が存在する限り、売上ゼロでも赤字でもかかります。マイクロ法人の「家賃」だと思ってください。唯一の例外は休眠手続きをした場合ですが、それは運営をやめる話なのでここでは除外します。
会計ソフト(年7万円強) → 削れるが、条件つき
ここが一番悩ましいところです。年7万円は正直高い。ただし内訳を見ると、freee会計(記帳・決算書)とfreee申告(法人税の申告書作成)のセットで、税理士に頼んだ場合の15万〜20万円の半額以下で「自力申告」が成立しているとも言えます。
法人税の申告書は十数枚の書類群で、正直、会計ソフトなしの完全自力は現実的ではありません(私はfreee申告で9割方自動作成されて、それでも初年度は苦労しました)。安くする道として弥生も検討しましたが、弥生会計 オンライン(かつて年30,590円で最安でした)は2025年4月に新規契約の受付が終了し、後継の弥生会計 Nextは単体では法人税の申告書を作れません。申告書作成までの一気通貫を考えると、私はfreeeの構成に落ち着いています。3社の総額比較と、freeeを5年使った本音レビューはこちら。
バーチャルオフィス(約2.2万円) → 自宅登記なら0円。ただしトレードオフあり
自宅で登記すれば0円です。ただし登記簿は誰でも取得できるので自宅住所が公開されること、賃貸だと引っ越しのたびに本店移転登記(数万円)が発生することを考えて、私はバーチャルオフィスを選びました。月1,650円は「住所の公開を防ぐ保険料」として納得しています。ここの実録も別記事にします。
二刀流特有の「見えないコスト」も正直に
あまり語られませんが、二刀流(法人+個人事業)だと会計ソフトが2つ要ります。法人はfreeeの法人プラン、個人の確定申告は別契約。「節約のための二刀流なのに、ソフト代は二重」というのは、やってみて気づいた不満です。
私の対処法は、個人事業側は確定申告の時期だけ1ヶ月契約して申告を済ませる方式。年契約するより大幅に安く済みます(記帳データは年間分をまとめて入れる前提なので、マメさは必要です)。
最初だけかかったお金(参考)
- 合同会社の設立費用: 約6.5万円(登録免許税6万円が大半。設立の実録はこちら)
- 法人実印などの印鑑: 数千円
- 法人口座の開設費用: 0円(ネット銀行。ただし審査に落ちた話は別記事で)
結論: 「維持費16万円 < 社保の削減額」になるかで判断する
マイクロ法人の損益分岐は、突き詰めると「年16万円前後の維持費を、社会保険料の削減額が上回るか」です。個人事業の所得がある程度あって、国民健康保険が年40万〜50万円を超えているような人なら余裕で回収できます。逆に所得がまだ少ないなら、維持費で利益が食われて本末転倒になります。
自分の所得でいくら変わるかは、2026年度の実料率で計算できるシミュレーターを作ったので試してみてください:
社会保険料シミュレーター|マイクロ法人でいくら変わる?
参考(公式情報): 東京都主税局「法人事業税・法人都民税(均等割を含む)」(いずれも確認日2026-07-07)
※本記事の金額は筆者の法人の実績(2025〜2026年)および2026年7月時点の公開料金に基づきます。料金・税制は変わるため、最新情報をご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、税務助言ではありません。個別の判断は税理士等の専門家にご相談ください。