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マイクロ法人の実務 会計・税金

社会保険料を安くする「裏ワザ」は存在しない|でも合法的に下げる方法は3つある

シャチョー

ひとり社長ラボの筆者。2021年からマイクロ法人(合同会社)を運営する現役ひとり社長。個人事業との二刀流を、実額と実録で記録しています。

「社会保険料 裏ワザ」で検索すると、いろいろな記事が出てきます。先に身も蓋もない結論を言うと——裏ワザは存在しません。社会保険料は法律で計算式が決まっていて、こっそり安くする抜け道はない。あったら違法です。

ただし、「計算式に入る数字を、合法的に変える」方法なら存在します。私はマイクロ法人を5年運営して、社会保険料を月約25,000円に固定している当事者です。この記事では、怪しい話を全部取り除いた上で、立場別に「本当に効く方法」だけを整理します。

大前提: 社会保険料は「何で計算されるか」

方法論の前に、構造を30秒だけ。

  • 会社員・役員(社会保険): 給与(標準報酬月額)×料率。給与が上がれば上がる
  • 個人事業主(国民健康保険+国民年金): 国保は前年の所得×料率+定額部分。所得が増えれば上限まで増える

つまり安くする方法は理屈上、「計算のベースになる給与・所得を変える」か「計算式そのものが違う制度に移る」の2つしかありません。世の中の「裏ワザ」記事も、分解すればぜんぶこのどちらかです。

個人事業主・フリーランスの場合: 効く順に3つ

① 構造を変える: マイクロ法人の二刀流(効果最大)

小さな法人を作って社会保険に加入し、役員報酬を低く設定する方法です。社会保険料は法人からの役員報酬だけで決まるので、個人事業でいくら稼いでも保険料が増えなくなります。私の実額は役員報酬87,999円で月約25,100円(2025年度・東京・40歳未満)。所得400万円の人なら国保+国民年金との差額は年20万円規模になります(自分の数字はシミュレーターでどうぞ)。

ただし法人の維持費が年16万円前後かかり、事務負担も増えます。差額がそれを上回る所得帯の人だけの選択肢です。詳しくは国保が高すぎる人向けの記事後悔しないための現実を読んでから判断してください。

② 制度を変える: 国民健康保険組合(該当業種なら強い)

業種によっては、市区町村の国保ではなく「国保組合」に入れる場合があります(デザイナー・ライター等の文芸美術国保、建設業の建設国保など)。多くは所得に関係なくほぼ定額なので、所得が大きい人ほど差が出ます。加入条件(業種・団体加入など)が合うかどうかがすべてなので、自分の職種の国保組合を一度調べる価値があります。法人を作るよりずっと手軽です。

③ ベースを変える: 所得を正しく圧縮する(地味に効く)

国保は前年所得ベースなので、正当な経費計上、青色申告特別控除(65万円)、小規模企業共済やiDeCoなどの所得控除は、税金だけでなく翌年の国保にも効きます(※控除の種類によって国保の算定に効かないものもあるので、そこは自治体の算定方法を確認)。裏ワザではなく、単にやるべきことをやるだけで数万円変わる領域です。

会社員の場合: 正直、ほぼ動かせない

期待させたくないので率直に書きます。会社員の社会保険料は給与で機械的に決まり、本人にできることはほとんどありません。よく言われる「4〜6月の残業を減らすと安くなる」(標準報酬月額の算定期間)は事実ですが、コントロールできる人は限られるし、等級が下がれば将来の厚生年金も減る表裏一体の話です。会社員の社保は「安くする」より「その分の保障を受け取っている」と捉えるほうが実態に合っています

ひとり社長・経営者の場合: 役員報酬の設計がすべて

すでに法人を持っている人の社会保険料は、役員報酬の設定額で決まります。ポイントは2つ。

  • 厚生年金の標準報酬月額には88,000円の下限があるので、報酬をそれ以下に下げても年金分は下がらない(8万円の壁の解説)
  • 役員報酬は期中に自由に変えられない(定期同額給与)。設計は期首に1年分を決め切る

「役員報酬を下げて配当や退職金で取る」等の高度な設計もありますが、ここは金額規模によって最適解が変わるので、税理士と組んでやる領域です。

やってはいけないこと

  • 実態のない法人・形だけの加入: 他人の法人に名義だけ入れてもらって国保を抜ける類のスキームには、すでに行政の対応が入っています。実態のない節約策は遅かれ早かれ潰されるし、追徴のリスクを自分で抱え込むだけです
  • 保険料の滞納: 安くなるどころか延滞金と督促で高くつきます。苦しいときは減免・猶予の相談窓口へ
  • 所得の過少申告: 論外です。国保は安くなっても、それは脱税です

まとめ: 「裏ワザ」を探すのをやめると、答えは3つに絞れる

社会保険料を合法的に下げる方法は、①構造を変える(マイクロ法人の二刀流)、②制度を変える(国保組合)、③ベースを変える(正しい所得圧縮)の3系統だけです。自分の所得でどれが効くかは、まずシミュレーターで数字を見てから考えるのが速い。数字が小さいなら、何もしないのも立派な正解です。

【2026年3月の厚生労働省通知について】 2026年3月18日、厚労省は法人役員の社会保険の被保険者資格について、「役員としての業務が法人経営への参画を内容とする経常的な労務の提供であること」「報酬がその対価として経常的に支払われていること」を総合的に判断すると明確化しました(出典: 厚生労働省「法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて」、確認日2026-07-07)。直接の対象は他者の法人に形式的に役員として加入する「国保逃れ」スキームですが、自分で設立したマイクロ法人でも実態のある業務と、それに見合う報酬が前提になる点は同じです。形だけの法人・実態のない役員就任では社会保険に加入できません。

参考(公式情報): 協会けんぽ「令和8年度保険料額表」練馬区「国民健康保険料の計算方法(令和8年度)」厚生労働省「法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて」(いずれも確認日2026-07-07)

※本記事は筆者個人の体験と2026年7月時点の公開情報に基づく一般的な情報提供であり、税務・社会保険の個別助言ではありません。制度・料率は変わります。個別の判断は専門家・自治体・年金事務所にご確認ください。

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シャチョー

ひとり社長ラボの筆者。2021年からマイクロ法人(合同会社)を運営する現役ひとり社長。個人事業との二刀流を、実額と実録で記録しています。

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