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マイクロ法人の実務 会計・税金

役員の年末調整、ひとり社長は何をする?源泉徴収ゼロの私が1月に2時間で片付けている5つ

モリ

ひとり社長ラボの筆者。2021年からマイクロ法人(合同会社)を運営する現役ひとり社長。個人事業との二刀流を、実額と実録で記録しています。

役員が自分ひとりの会社で、しかも毎月の源泉徴収がゼロ。それでも年末調整はやるのか、やるなら何をどこに出すのか。調べると従業員がいる会社向けの説明ばかりで、自分のケースに当てはめにくいと思います。

結論から言うと、ひとり社長でも年末調整と、1月に出す書類はあります。私は役員報酬を源泉徴収がかからない範囲に設定していて、毎月の源泉所得税はゼロですが、それでも毎年1月10日前後に、2時間くらいでまとめて片付けています。

この記事では、私が毎年出しているものの一覧と、実際の段取り、1年目に丸一日かかった話まで書きます。

結論:ひとり社長が1月に片付けるものは5つ

やること出す先期限私の場合
7〜12月分の源泉所得税の報告(納期の特例)税務署(e-Tax)1月20日納付は0円。0円の徴収高計算書を送る
年末調整と源泉徴収票の作成本人(自分)に交付1月31日過不足は0円
源泉徴収票の税務署への提出税務署1月31日役員は年150万円超のときだけ。私は対象外
法定調書合計表税務署(e-Tax)1月31日金額が小さくても出す
給与支払報告書1月1日時点で住んでいる市区町村(eLTAX)1月31日普通徴収にして出す

本来、年末調整の精算はその年の最後の給与を払うときに行うものです。私の場合は毎月の源泉所得税がゼロで、精算しても過不足が出ないことが分かっているので、計算と書類づくりを提出期限の前の1月にまとめています。

この記事の前提

  • 2021年に作った合同会社。役員は私ひとりで、従業員はいない
  • 役員報酬は源泉徴収がかからない範囲に設定している。毎月の源泉所得税はゼロで、年間の支払額も150万円以下
  • 源泉所得税は「納期の特例」で年2回の納付にしている
  • 個人事業との二刀流なので、個人の確定申告も毎年している
  • 税理士はいない。申告や提出は全部自分で、全部電子でやっている

源泉徴収がかからない範囲で役員報酬を決める考え方は役員報酬はなぜ「8万円」なのかに書きました。納期の特例の届出は、設立直後に出す書類のひとつです(設立後の届出チェックリスト)。

私のやり方:普段は触らず、1月10日前後に2時間でまとめる

私は法人の事務を普段はほとんど触りません。会社に入ってくるのは毎月決まった額の契約収入だけで、お金の出入りが少ないからです。年末調整、決算、算定基礎届、源泉所得税の報告といった「出さないといけないタイミング」が来たら、それまでの分をまとめて片付けます。

1月にやることはこの5つです。順番は年によって多少前後します。

  1. 1年分の役員報酬と源泉所得税(ゼロ)を帳簿で確認する
  2. 7〜12月分の徴収高計算書を、納付額0円でe-Taxから送る
  3. 自分の分の年末調整をして、源泉徴収票を作る
  4. 法定調書合計表をe-Taxで出す
  5. 給与支払報告書をeLTAXで自治体に出す

作業はほぼMacでやっています。マイナンバーカードはUSBのカードリーダーでMacにつないで読み取ります。e-Taxの利用者識別番号にマイナンバーカードを登録してからはログインで迷うことがなくなったので、マイナンバーカードで登録できるものは全部登録しました。

源泉徴収ゼロでも「何も出さなくていい」にはならない

役員報酬を源泉徴収のいらない額にしていると、「税金がゼロなら書類もいらないのでは」と思いがちです。でも、ゼロであることを報告する書類は出す必要があります。

e-Taxのよくある質問でも、源泉所得税の納付税額が0円のときは、0円と入力した徴収高計算書データを送信するよう案内されています。法定調書合計表にも給与の支払総額を書く欄があるので、源泉徴収票を税務署に出さなくていい金額でも、私は毎年提出しています。

私はこれを最初から分かったうえでやっているので、面倒だと感じることはあまりありません。気をつけているのは、ゼロでも提出はあるので忘れないこと、それだけです。

1年目は丸一日かかった

1年目は、納めるお金がなかったので計算自体はそこまで難しくありませんでした。それでも、どの書類をどこに出すのかを全部自分で調べて、説明を読み込みながら進めたので、丸一日かかりました。

時間がかかった理由は、書類の難しさより「何を出せば終わりなのかが分からない」ことでした。ネットで買い物をするときは、支払えば注文が確定して、あとは届くのを待つだけです。役所の手続きにはその一連の流れがありません。必要な届出を自分で考えて出し、納付も自分で金額を確認して払う。「これで全部です」と誰も言ってくれないのが、ひとりでやる事務の一番しんどいところだと思います。

この記事の最初の表は、1年目の私が一番ほしかった「これで全部」の一覧のつもりで作りました。今は全部電子で出していて、2時間あれば終わります。

自分で自分の控除を計算して分かったこと

自分の会社から自分に給与を払う形なので、年末調整も「会社としての私」が「役員としての私」の分をやります。仕組みを分かったうえで会社を作ったので、そこに違和感はありません。

それより印象に残ったのは、控除の仕組みを自分の手で追ったことです。給与所得控除や基礎控除がどう引かれて、どこから税金がかかるのかを一度自分で計算すると、会社員一本で働いている人はこんなに税金を払っているのかと実感しました。税金を身をもって知れたのは、ひとりで全部やってよかったことのひとつです。

二刀流なので、年末調整とは別に個人の確定申告もあります。法人と個人で年に2回申告するのは面倒です。ただ、両方やってみると、個人事業主の申告は法人の申告よりずっと楽だと感じます(二刀流の考え方は法人成りしても個人事業主を廃業しないにまとめています)。

住民税は普通徴収にしている

給与支払報告書を出すと、住民税の払い方を「特別徴収」と「普通徴収」から選ぶことになります。特別徴収は会社が給与から天引きして納める形、普通徴収は本人に届く納付書で自分で払う形です。

私は普通徴収にしています。住民税は原則として特別徴収ですが、従業員が2人以下の事業所など、自治体が決めている基準に当てはまれば普通徴収にできます。eLTAXで出す場合は、普通徴収の欄にチェックを入れ、摘要欄に該当する基準の記号を書く形になります。紙で出す場合に必要な「普通徴収切替理由書」は、eLTAXでは不要です。基準や書き方は市区町村ごとに案内が出ているので、出す前に自分の自治体のページを確認してください。

年末調整の書類はfreeeでも作れるようになっている

私は会計にfreeeを使っていますが、年末調整の書類は国税庁やeLTAXの仕組みで自分で作っています。会社を作った頃は、freee会計とは別にfreee人事労務を契約しないと給与まわりの機能が使えなかったので、その流れがそのまま定着しました。

今は事情が変わっていて、2024年7月以降のfreee会計の法人向けプラン(ひとり法人プランなど)には、「ひとり法人(会計プラン付帯)」として1人分の労務機能が追加料金なしで付いています。給与計算、年末調整の書類、社会保険の算定基礎届などを作れるもので、freee人事労務のミニマムプラン相当です。サポートはメールのみで、チャットや電話には対応していません。

これから会社を作る人や、国のツールを1から調べるのが面倒な人は、先にこちらを触ってみるのが早いと思います。決算・申告まで含めてfreeeを5年使ってきた実感は、freee会計をマイクロ法人で5年使った本音レビューに書いています。

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注意点:私のやり方がそのまま使えない人

  • 毎月源泉徴収をしている人:年末調整で過不足が出るので、その年の最後の給与を払うときに精算が必要です。1月にまとめる私のやり方は、源泉ゼロだから成り立っています
  • 役員報酬が年150万円を超える人:役員の源泉徴収票は、年間の支払額が150万円を超えると税務署にも提出が必要です
  • 扶養家族がいる人、生命保険料などの控除がある人:申告書に書く内容や確認する書類が増えるので、私の「2時間」より時間がかかるはずです
  • 令和8年分から控除額が変わる:所得税の基礎控除と給与所得控除の最低保障額が引き上げられ、国税庁は令和8年12月に行う年末調整から変更が生じると案内しています。具体的な金額や毎月の源泉徴収への影響は、国税庁の案内で確認してください
  • 1年目の人:慣れるまでは、私のように丸一日かかるつもりで1月の予定を空けておくのがおすすめです

まとめ

ひとり社長でも、役員報酬を払っている限り年末調整はありますし、源泉徴収がゼロでも1月に出すものはあります。私は源泉ゼロで過不足が出ないので、徴収高計算書、源泉徴収票、法定調書合計表、給与支払報告書を1月10日前後にまとめて、全部電子で2時間くらいで片付けています。

1年目は「何を出せば終わりか」が分からずに丸一日かかりましたが、一度リストにしてしまえば毎年同じ作業の繰り返しです。法人の事務が年間でどれくらいあるかはマイクロ法人に税理士はいらない?5年自力で回した結論に、難易度つきで全部書いています。

参考(公式情報・いずれも確認日2026-09-17): 国税庁 No.2662 年末調整のしかた / 国税庁 No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等 / 国税庁 No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例 / e-Tax よくある質問(納付税額が0円の徴収高計算書) / 国税庁 令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について / 東京都主税局 特別徴収にかかる手続きについて / eLTAX 給与支払報告書提出 / freee「ひとり法人(会計プラン付帯)」

※本記事は筆者個人の体験と2026年9月時点の公開情報に基づく一般的な情報提供であり、税務・法務の助言ではありません。年末調整や住民税の取り扱いは税制改正や自治体によって変わります。個別の判断は、その時点の国税庁・自治体の公式情報を確認のうえ、税理士等の専門家にご相談ください。

  • この記事を書いた人

モリ

ひとり社長ラボの筆者。2021年からマイクロ法人(合同会社)を運営する現役ひとり社長。個人事業との二刀流を、実額と実録で記録しています。

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