登記が完了して「会社ができた!」と思ったあなたに、5年前の自分に言いたかったことを伝えます。本当に大変なのはここからです。
設立後の届出は、税務署・都道府県・市区町村・年金事務所と提出先がバラバラで、オンラインのシステムまで全部違います(e-Tax、eLTAX、届書作成プログラム……)。私が設立時に一番消耗したのはこの交通整理でした。当時の自分が欲しかった一覧を置いておきます。
設立後にやる届出の全体像(合同会社・ひとり社長の場合)

| 届出 | 提出先 | 期限の目安 | 重要度 |
|---|---|---|---|
| 法人設立届出書 | 税務署 | 設立から2ヶ月以内 | 必須 |
| 青色申告の承認申請書 | 税務署 | 設立から3ヶ月以内(または最初の事業年度末の早い方) | 最重要。逃すと初年度の欠損金繰越等が使えない |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 税務署 | 開設から1ヶ月以内 | 役員報酬を払うなら必須 |
| 源泉所得税の納期の特例の承認申請書 | 税務署 | 随時(承認の翌月から適用) | 強く推奨。毎月納付→年2回にまとまる |
| 法人設立届出書(地方版) | 都道府県税事務所+市区町村 | 自治体による(東京23区は都税事務所のみ) | 必須 |
| 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 年金事務所 | 事実発生から5日以内 | 必須(法人は社保強制適用) |
| 被保険者資格取得届 | 年金事務所 | 同上 | 必須(自分自身の加入) |
※役員1人・従業員なしの前提です。人を雇う場合は労働保険関係が追加されます。期限・要否の最終確認は各機関の公式情報でどうぞ。
つまずきポイント①: 提出先とシステムが全部違う
国税(税務署)はe-Tax、地方税はeLTAX、社会保険は年金事務所(電子申請は別システム)。「法人の手続き」というひとつの窓口は存在しません。私は当時、「この書類はどこに出すのか」を調べるだけで日が暮れました。上の表の「提出先」列だけでも保存しておくと、あの消耗を減らせるはずです。
つまずきポイント②: 「納期の特例」を知らないと毎月納付になる
役員報酬から源泉所得税を預かる場合、原則は毎月納付です。「納期の特例」を申請すると年2回(7月・1月)にまとめられます。ひとり社長でこれを出さない理由はありません。ただし承認申請の翌月からの適用なので、設立直後に出すのが正解。ちなみに報酬を88,000円未満(2026年分の税額表では105,000円未満)に設定していて源泉税額が0円でも、事務の型として申請しておくのが無難です(このあたりの設計はこちら)。
つまずきポイント③: 社会保険の「5日以内」は現実的にきつい
年金事務所への新規適用届は「事実発生から5日以内」が建前です。登記完了直後の混乱期に5日はかなりタイトで、実務では多少遅れても手続き自体は受け付けてもらえますが、放置はダメです。加入が済むと、毎月の保険料納付が始まります——ここで納付書が月末ギリギリに届く問題と口座振替に対応した法人口座の話につながります。
設立ツールを使うと、この書類群も自動作成される
救いをひとつ。freee会社設立などの無料ツールは、登記書類だけでなく設立後の届出書類もある程度自動作成してくれます。私はこれにかなり助けられました(実録はこちら)。それでも「どこに・いつまでに出すか」の管理は自分の仕事なので、この記事の表をチェックリストとして使ってください。
まとめ: 1周目だけ頑張れば、2年目からはただのルーティン
設立後の届出は種類が多く提出先もバラバラですが、ほとんどは一度きりの手続きです。毎年繰り返すもの(算定基礎届、年末調整、決算申告)は別途ルーティン化すればいい(年間ルーティンの実際)。この1周目の面倒さこそ、税理士に初年度だけ頼む価値がある部分でもあります。自力でやるなら、期限が最重要の「青色申告の承認申請」だけは絶対に落とさないでください。
参考(公式情報): 国税庁タックスアンサーNo.5100「新設法人の届出書類」、日本年金機構「新規適用の手続き」(いずれも確認日2026-07-07)
※本記事は筆者個人の体験(2021年設立)と2026年7月時点の公開情報に基づく一般的な情報提供です。届出の要否・期限は法人の状況により異なります。必ず税務署・自治体・年金事務所の最新の案内でご確認ください。